デスティニー[DESTINY]の感想

2014年9月21日 カテゴリ: ゲーム, レビュー, destiny

2014年9月11日にPS4、PS3、XboxOne、Xbox360で発売されたFPSゲーム
『デスティニー』[Destiny]
の感想です。



総評

/10点

まず簡単に言うと、神ゲーではなく、良ゲーというほどでもなく、普通に楽しいゲーム、といったところです。

デスティニー - DESTINY

未来の宇宙を舞台にしたSF作品。戦闘は全てFPSで、タワーと呼ばれる拠点(買い物などが出来る街みたいなもの)にいる時だけは移動だけでTPSになります。

オンライン専用ゲームなのでオフラインで遊べる要素は全くありません。

ゲームの主軸は銃器類で敵を倒すシューティングゲームで、純粋にそれだけを楽しむ作りになっています。

MMORPGやMMOFPSやハクスラなどカテゴライズの話題もありますが、プレイできる事は一人称視点のシューティングです。

ストーリー、システム、アイテムの種類、ミッションの難易度調整、マルチプレイのルールなど、まるで機能をごっそり削ぎ落とした年配者向けの携帯電話のようにありとあらゆる物がシンプルに作られているため、とにかく何も考えずに撃って敵を倒す、マルチプレイではイケイケ押せ押せで敵プレイヤーを倒す、それだけを楽しめる作りになっています。

例えるなら、

ちょっとゲーセンに立ち寄って、友達とノリで熱中したゲームにコインを一タワーを注ぎ込んだ。「あー面白かったw」と言ってゲーセンを出る。次の日、またそのゲームをしたくてそのゲーセンに行こうなんて考えもしない。

「ストーリー?何かあったっけ?よく覚えてないけど、まあ、昨日は楽しかったよな!わっはっは!」

そういう楽しさを提供している類のゲームです。

出来ることが非常にシンプルなため取っ付きやすく一気に遊べますが、戦略的な奥深さ、やり込み、何か本格的な匂い、そういった要素はありません。

悪いことではありません。そういうタイプのゲームということです。

普段あまりゲームをしなくてちょっとFPSなんてものを手軽に遊んでみたいという人には、けっこう肌に合うかもしれません。

ザ・ハウス・オブ・ザ・デッドのように撃って倒してイエーイ!系が好きな人には向いているかもしれませんが、こういったシューティングゲームに戦略性を求める人にはおそらく向いていません。

また、アイテムを集める楽しさ、装備品の変更による着せ替え、多くのスキルを組み合わせて自分だけのキャラクターを作りそれによって戦術も変化していくといった要素を求めている人にも向いていません。

アイテムやスキルのアイコンなど目に見える要素としては色違いが基本で種類が非常に少ないからです。その上、アイテムを保管しておく倉庫も小さいため(武器x20、アーマーx20、その他アイテムx20個まで)、コレクションのしようがありません。

デスティニー - DESTINY

またマルチプレイにおいては、他職とのスキルの連携による戦略や、助け合って戦うといった要素もありません。せいぜい一緒に行動して数的有利な状況を維持するぐらいしか出来ることがないため、PvP、チームデスマッチなどにそういった面白さを求めている人にも向いていません。

死んだ仲間は基本的に放ったらかしです。すぐに復活できますし、助けてるなら敵を倒した方がスムーズだからです。基本がそれなので、助けられる状況なのに助けなくなっていますw もう助けないことが癖になってしまっているんでしょうねw それでもファンゲームスライスは面白くて逆に助けようと急いで駆け寄るのですが、もうそういう風潮ですからすぐに自力でリスポーンして消えてしまうんです。仲間を復活させるのはけっこう難しいですよ…。

成長するシステムについては、いわゆるMMORPGでよく言われるマゾゲーの類です。

一通り遊び終わる頃にはレベル20になるのですが、そこまではさくさくと上がります。しかし、そこからレア装備品を身につける事によってレベルが上がるシステムになり、このあたりでマゾゲーさが若干顔を覗かせてきます。

そしてレベル24からは更にレアな装備品が必要になってきて、バウンティと呼ばれる同じ依頼(種類が少ないんです)を受けて同じミッションをこなし、また、マルチ用の同じ依頼(種類が少ないんです)を受けて戦略性も共闘感も無いPvPに明け暮れることになります。

PvEに関しては、強い敵に対抗するため更に強い装備を手に入れるというタイプです。

難易度によって攻略法が変わるといったタイプのゲームではありません。

おそらく多くの人がレベル20あたりで「あ、これはマゾゲーの類だ……」と確信するかと……。

レベリングがストーリーの進展や戦略的な進捗などと直結していれば面白いゲームになるのですが、レベリング以外は一切変化がない停滞状態のため同じ作業を繰り返すだけのマゾゲーになってしまっています。

レベルを上げると同じミッションの高難易度(ハード、ベリーハード、インポッシブル)が解放されるのですが、この難易度調整も基本的には敵の体力と攻撃の激しさが増すだけなので、攻略法に変化はありません。

敵の行動パターンが少ないのですぐ覚えられるため、無闇に突っ込まずに倒していけばクリア可能です。(あまりレベルが離れすぎていると敵にダメージを与えられずに倒せなくなるので、現実的に楽しめるのはハードまでです。)

デスティニー - DESTINY

「敵が硬くなった→強い武器を手に入れよう→敵が更に硬くなった→もっと強い武器を手に入れよう→敵が……」これの繰り返しです。

こういうのも一つのゲームのスタイルとしてありではありますが、好みとしては、

ベリーイージー「ゴリ押し歓迎ですヨ。」

イージー「ちょっと削らせて頂きますがゴリ押しも可能です。」

ノーマル「ゴリ押しはちょっと…、基本動作でお願いします。」

ハード「基本動作をきっちりこなした上で分析と精密さも大事になってきます。引くこと覚えろカス。」

ベリーハード「そっちに行くと見せかけてこっちに行くんです。もうそのパターンは通用しませんヨ。」

インポッシブル「攻撃させません。弾幕万歳!特攻万歳!」

一例ですけど、こういった攻略法の変化を迫られるタイプの難易度設定ならより楽しめたゲームでした。

おそらくフレンドとボイチャしながらやると楽しいかもしれませんが、他人としゃべりながらやればどんなクソゲーでもおふざけプレイをして遊んで面白くできるので、「協力プレイ専用ゲーム」とでもしていない限りは良い点とはなり得ません。

昔のドラゴンボールの格闘ゲームみたいに(スーファミだったかな?)、相手の必殺技を100%跳ね返せるようになると延々とそのラリーになって「跳ね返すんじゃねーよ!いい加減にしろ!www」と笑い転げながら一晩中遊べるじゃないですか。そういうことですよ。


ちょっと今回のレビューでは、良い点と悪い点というように分けて書かずに、目に付いた仕組みを箇条書きにしていきます。

  • エイムにやんわり補助が効いている。
  • カメラスピードの調節と構えた時のエイムスピードの調節が共通。
  • BGMと効果音の音量設定が無い。
  • デスティニー - DESTINY

  • 敵のAIがけっこう単純。
  • 難易度は敵の体力と攻撃の激しさで違いを出しているため、攻略法に殆ど変化はない。
  • ミッションによってはオートマッチングで始まるため、例えば同じ場所で死にまくって粘っているプレイヤーがいるとすると、何度もその人とマッチングしてしまい、新規で最初からスタートすることが出来ない場合がある。
  • マルチプレイでのチームデスマッチでは、ただ単に撃ち合うだけのモードでは、本当にただ単に撃ち合うだけになります。狭いマップなら展開が早くてそれも楽しいのですが、広大なマップでしかも両チームに待ち伏せして狙撃するタイプのプレイヤーが数名いると、なかなか敵と遭遇しなくなり試合がダラダラと苦痛に流れていくという、かなり雑なルール設定になっています。
  • マルチプレイ(PvP)にあまりにも戦略性がない。陣取りにしても、裏取りなんてしてる暇がない、意味がない、さっさと撃ち殺せ、陣地取れ…です。
  • PvPを終了した時の報酬が戦績に関係なくランダムで分配されます。最下位のプレイヤーがレアアイテムを総取りしたり、1位のプレイヤーだけアイテム無しなどという事が普通に起こっています。アイテム目当ての場合なら放置プレイ推奨っていう……、なんてこったい…。しかし単に上位だけ貰えるようにすると、まず間違いなく過疎ります。このゲームのPvPは単純すぎるからです。
  • ボス戦などの要所となる戦闘シーンでは大抵は安全地帯が設けられているため、クリア不可能になることはまずない。これのせいで、ライト層に売りたいのかコア層に売りたいのかよく分からないゲームになってしまっています。
  • BGMがけっこうかっこいいのに、効果音がけっこうださい。よって全体的に安っぽいサウンドになってしまっている。
  • 装備品の種類が少ない。集めてニヤニヤ、着せ替えしてニヤニヤ、という楽しみ方はできない。
  • レベル20からレア装備品を装備することによってレベルが上がるシステムになるため、突然マゾい作業ゲーに変わる。
  • PS3のディスク版で遊んでいますが、とにかくメニュー表示が遅い。接続状況が混んでいるほど遅くなるようです。ちょっと装備品の説明を見たいというだけでも、カーソルを合わせて10秒程度待たなければいけなくなります。空いている時はまだ数秒で済むので気になりませんが、流石に10秒以上となると…。
  • 下の動画は接続が空いている状態の時のものです。



  • プレイ中に即座にアイテムを使うことが出来ない。一旦スタートボタンを押してメニューを開いてアイテム欄を開いて使用しますが、そのメニュー表示に10秒ぐらいは掛かるため、なかなかアイテムが使えません。弾薬補給のようなワンタッチで使いたいアイテムもそういうUIではないため出来ません。装備変更も同じです。このメニューの表示待ちの間は無防備なので、当然敵や敵プレイヤーに攻撃されれば死にます。
  • グラフィックはPS3の初期のような綺麗さ。動画で見た限りだとPS4などでも「まあ、今はこんなもんだよね」と思える仕上がり。CGを見た時にありがちな錯覚ですが、宇宙や深海のような日常的に直接目にする機会のない物を描いたCGは「綺麗!凄い!」という勘違いをしやすいかと。日常見慣れている部屋や町並み、自然や生き物といったところだと「綺麗なCG」かどうか分かりやすいのですが。宇宙SF物となると、いくぶん冷静に見る必要があるかと思います。
  • デスティニー - DESTINY

  • 装備品の組み合わせで戦略がどうこうといったような、やり込み(考え込み?)な面はありません。
  • 他プレイヤーとのコミュニケーションツールがボイチャのみ。テキストチャットありません。
  • 依頼を引き受けてのミッション遂行型のゲームなのに、その履歴がない。自分がこなしてきた依頼を見たくなる時があります。
  • 依頼の種類が非常に少ない。これは今後アップデートで追加されていくのかもしれませんが、それにしてもフルプライスでパッケージ販売している製品で今の状態は酷い。
  • アイテムのドロップが少ない。その上、鑑定するとゴミアイテムだったりします。この手の単純なゲームは、多めにドロップした方が楽しいと思います。
  • PvPにおける各職(クラス)間のパワーバランスはよく取れています。とはいえ、クラスとスキルと装備が非常に少なく連携プレーなども無い状態で、バランスを上手くとれない方がおかしいので、褒められる点ではありません。この程度の荒削りな状態ではうまくバランスをとれて当たりまえです。
  • シングルもマルチもマッチング機能が荒すぎます。終了1分前ぐらいのところに放り込まれたり、突然ラスボス戦だったりすることが普通に起きます。「ホストで最初からスタート」といった選択肢がないため、初めてプレイするミッションでいきなりラスボスからだと萎えます。しかも一旦抜けても、また同じところにマッチングする事もあるため、あまりにも乱暴すぎる機能削減です。
  • 何か行動を起こすごとに「グリモアカードを入手」というのが出て同時にバンジーのURLが表示されてそこで確認する仕組みになっているのですが、露骨なサイト誘導の仕組み、そのせいでゲームが痩せ細ってしまっているのであまり良い気持ちがしません。集めたアイテムをゲーム内で見られないというのは不愉快、不便でしかありません。
  • 敵の集団をどう突き崩していくのか、というような考える要素はなく、「一つの集団が出てきました→倒して正面突破→次へ進みます→一つの集団が…」これの繰り返しで一つのミッションが構成されているため、最初は緊張感がありますが気付いてしまうと「ダッシュ&ファイアー」といった感じで、もう首から下しか使ってないような感覚になってきます。
  • 「闇がー!」とか言ってるのですが、独特な名称のオンパレードなこともあってかあまりストーリーが入ってきません。この手のミッション形式のゲームにありがちと言えばありがちなのですが、週末の戦隊物などの番組をご飯を食べながらなんとなく流し見しているような感覚で楽しむぐらいでいいかもしれません。
  • プレイヤーの操作するキャラクターはごつい戦闘員なのに、日本語の声が芯の無い細くて高い声(今時の男性声優)なので、どう見てもゲイにしか見えません。なぜもう少し太いしっかりした声にしなかったのでしょう?

一通り遊んでみて持った印象は、

個人が一生懸命作ったゲーム

といったところです。

…………兎に角、何もかもが”無い”んです。

詳細は省きますが、プレイしているとすぐに「あれ無いの?」「あの機能も無いの?」といったゲームをする上で普通にあるはずの機能などが無い問題にぶち当たって驚きの連続です。

更に、アイテムの豊富さ、装備品のディテールのこだわり、豊富で緻密なスキル構成、こういったはっきり目に見えるところで「さすがマンパワーと資金とノウハウを共有しているプロ集団は違うな!!」と感心する部分が何一つなかったところは非常にガッカリしてしまいました。

内部的に高度な事をやっていたとしても、それがゲームとしての面白さとして伝ってこなければ、普通に遊んでいる側からすると知ったことではないのですよ。「凄いことやってるの?じゃーお金出す!」とはなりません。

今後のアップデートで補強、改善されていく部分があるのかもしれませんが、仮にそうなったとしてもその頃にはもっと面白いゲームが発売されていたりするわけでして、今と同じ状況ではないのでどう転ぶか分からない将来に期待して期待値を込めて神ゲーなどと評したり、フルプライスで博打買いするというのもおかしな話です。

『今』遊びたくてこのゲームを買っているわけですし。

この作りなら2,500円~3,500円ぐらいが適当なゲームかと思います。

もし「あ、買おうかな!…あいやちょっと待てよ…」と直感的に購入を踏みとどまったなら、おそらくそれは直感に従った方が正解かもしれません。

いずれにせよ、もう少しアップデートを重ねていってフルプライスの普通のパッケージ製品レベルにまでなるのかどうかと、その時の周りのゲームラインナップの状況などを合わせてから判断する方が良さそうです。




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