ロックマン9 野望の復活!!の感想

2015年1月27日 カテゴリ: ゲーム, レビュー, rockman

2008年9月24日にカプコンからダウンロード販売専用ソフトとして発売されたアクションゲーム
『ロックマン9 野望の復活!!』[Mega Man 9]
PS3版の感想です。



総評

/10点

ロックマン9 野望の復活!! - Mega Man 9

一通りプレイしてみたところ、

ロックマン好きなら
8~10/10点

ロックマンに思い入れはないが、ファミコン時代の作りに耐性はあり、一つのゲーム作品として期待して購入した人なら
4~6/10点

楽しくエンディングまで導いてくれる作りのゲームに慣れている人なら
1~3/10点

といったような点数をつけそうです。

なので、つまり人を選ぶゲームということで、何の思い入れもない状態でゲームを遊んだ視点からの点数で、終盤が水増しがっかりゲーなのをおいては細部がよく出来ているアクションゲームなので『7点』をつけました。


まずこのゲームは、ファミコン時代を意識した作りになっており、グラフィックや操作性だけでなく、サウンドの同時発音数まで制限を設けるという徹底振りです。

そして、アクションゲームといっても概ね以下の2タイプ、
『細かい、素早い、難しいなどの操作を必要とするもの』と、
『暗記するもの』とに
分かれる中で、このロックマン9は後者になり、いわゆる『暗記ゲー』とか『覚えゲー』などと呼ばれるタイプのゲームです。

一口に言うと難しい、難易度の高いゲームです。

ですが、即死要素が多く難しい作りになってはいるものの、仕掛けや敵の出現場所や攻撃パターンを覚えることで、簡単にクリアできるようになります。

中には反射神経や細かい操作が必要になる場面もありますが、いずれも特殊な武器を使うことで簡単に乗り切れるようになっています。

どの程度参考になるかは分かりませんが、おそらく『悪魔城ドラキュラ Harmony of Despair』をクリアできる人なら、このゲームもクリアできるのではないかと。

ファンゲームスライスはこれが人生初ロックマンだったため、良くも悪くも先入観無く一つのゲーム作品として期待して購入した口です。その目線からのレビューになります。

難しいには難しいですが、暗記ゲーなので、一度目は死んで、それで覚えて、次からスイスイと進めていけます。

一つのステージは短いので、死にながら5~10回もプレイすればそのステージのボス以外の全てを覚えられる程度です。

ゲームの構成ですが、最初にそれぞれボスがいる8つのステージがどこからでも始められるようになっており、それらを全てクリアするとワイリーキャッスルという親玉のいるステージへと進めます。

ワイリーキャッスルは全4ステージで構成されています。

で、実際にプレイしていて感じたのは、ワイリーキャッスルの最初のステージ1までは面白いです。楽しく遊べます。

特に最初の8ステージの暗記ゲーとは打って変わってワイリーキャッスルのステージ1は、特殊武器を総動員して仕掛けを動かしたり破壊したりして道を作りながら進んでいくという、パズル要素、謎解き要素が盛り込まれているため、非常に面白くなります。



この先はこうやって進む手順を考えて解いていってエンディングまで盛り上がっていく作りなのかと大いに期待したのも束の間、そこから崖を転げ落ちるようにつまらない終わり方をします。

ワイリーキャッスルのステージ2以降はこれといって仕掛けを解いていく面白い要素もなく、即死箇所だけが増えていき(グラディウスで幅の狭い道がずっと続くぐらいの緊張感…かな)、それどころか敵や仕掛けの使いまわしと、弱いのに倒すのに時間ばかり掛かるボスなども登場して、露骨なコピペ水増しを消化していく作業感だけが増していきます。

思えば、ワイリーステージ1でドラゴンが出てきた時に感じた、「あれ?同じ中ボス?」というかすかな嫌な予感が的中してしまった形です。

中でも一番白けたのは、ボスの使いまわしです。

中ボスの使いまわしだけでも「え?また?」と思うのに、最初の8ステージのボス8体がそのままの強さで再度登場したところで100%作業になりました。

再登場する8体のボスを倒すと、親玉のワイリーと戦える仕組みなのですが、もう完全に白けてしまっているので「とりあえずここまで来たし、これ最後っぽいからクリアだけしておこう…」という状態でワイリーを倒してクリア。

「お願いだからこの後、本当の本当のボスとか出てくるのやめてね。このまま終わってね」と願いながらワイリー撃破後の小芝居を見る始末。

このように単純に水増ししてしまっているので、作業感でプレイヤーを疲れさせてしまうだけでなく、ストーリー展開を白けさせてゲームから気持ちを離れさせてしまっているという終盤の作りが本当に残念。

これが、弱体化したボスが再登場するなら、演出として盛り上げてそのままラスボス戦へと突入する構成にも出来ますが、同じボスをそのまま出したら(しかもどのボスから戦うか選択も出来るためデジャブ120%!)どういう演出にしようが作業にしかならないです。

またこういったボスとの連戦という仕組みは、クリア後のお楽しみモードとして別メニューに追加しておけば、ゲームの評価が上がる材料としても使えたのに、それがマイナス要因にしかならない構成になっていたのは非常に残念なところです。

また、ワイリーキャッスルでは、死んでも武器のエネルギーが回復しないことから、エネルギー不足で仕掛けを動かせなくなり進行不能になる場面もあります。

ロックマン9 野望の復活!! - Mega Man 9

この場合は、回復アイテムのドロップを狙って、戻ってザコ敵を延々と狩り続けるというゲームとはかけ離れた稼ぎ行為をしないといけなくなります。

どうも終盤はポロポロポロポロと雑な部分が目立ちます。

中でもステージ4は酷すぎてゲームではなくなっています。

まずキャラ数個分進んで武器変更、また数個分進んで武器変更、また……、これを連続で繰り返して進むようになっていて、武器を変更するにはスタートボタンを押してゲームを止めてメニューを開いて武器を選択して決定という手間が必要なため、ゲームではなくてただただ手間、ただただ手間、それだけなので、途中から武器変更せずにダメージを受けながら強行突破するようになります。

その手間だけの道のりを行った先に8体の使いまわしボスとの連戦が待っています。

アクションゲームではテンポ感が大切かと思います。

こんな雑な作りにするなら、いっそワイリーと戦うだけにした方がはるかに印象が良かったと思えるほどです。

また、終盤に萎える原因の一つが、セーブできない仕様にもあります。

全4ステージからなるワイリーキャッスルはセーブできないので、クリアするまでコンティニューし続けて一気にプレイしなければなりません。

ステージ4を遊びたかったらステージ1から順番にやり直さないといけません。

しかも途中で買い物が出来ないので、なるべくE缶などのアイテムは使わずに進まなければなりません。

ファンゲームスライスの腕では2度3度とクリアしようという気にはなれません。いつでもノーミスでサクサク進めるよ~ぐらいのプレイヤーなら何とも思わない仕様なのかもしれませんが…………。

ファミコンを意識してその仕様、制限を徹底した作りは見事です。ですが、制作の経験まで無かった設定にすることはないでしょう。

見た目は子供!頭脳も子供!

これではダメですよ…。

ファミコン全盛当時に販売したとして、上がってくるであろう問題点は改善して作るべきです。

ファミコンを意識して…を口実に手抜きをしただけ?とも見えてしまうほど、終盤のがっかり感が凄まじいです。



さて、非常に残念に感じた部分を書きましたが、このゲームは細部を見ると非常によく出来ています。

敵の出現位置にしても、『なぜその場所に配置されているのか?』の意図が明確ですし、
攻撃にしても、『なぜそういう攻撃をそのタイミングでするのか?』や、
『なぜそういう地形になっているのか?』、
『なぜそこでその仕掛けが出てくるのか?』といったような、ゲームを構成する材料がそれぞれちゃんと意味を持って登場しています。

こういったゲーム制作の基本をしっかり押さえて作られているので、プレイヤーとしては安心してゲームに没入して遊べるという状況を作り出せています。

基本ができていないゲームだと、『駄目ゲー』になりがちです。遊ぶ気持ちを失わせてしまうものをそう呼んでいます。これは『クソゲー(時にステータス)』以下ですし、『がっかりゲー(そこそこ面白い要素は持ってる)』以下ですし、『理不尽ゲー(笑いをとれる要素はある)』以下ですし、『愛されゲー(太陽のしっぽは好きです)』以下です。

で、例えばこの場面、3体の敵の配置。特に左上にいる敵の位置が見事。

ロックマン9 野望の復活!! - Mega Man 9

2体の敵の攻撃をジャンプして避けると、着地するタイミングで左上の敵の攻撃がプレイヤーに当たるようになっています。

解決策としては、下まで落下してしまった場合には、敵の懐に飛び込むのが正解ですが、これもまたとっさの時に敵に近寄ろうとはしないだろうというプレイヤーの回避行動を予測した上での配置になっています。

続いてここは、通過すると敵が出てきて追いかけてきますが、そのまま進むだけで逃げ切れるようになっていますが…。

ロックマン9 野望の復活!! - Mega Man 9

この直後にほぼ同じ地形で同じ敵が出現します。しかし、二度目は逃げ切れません。

いわば警告と罠の両方の意味を持っている仕掛けの配置になっています。

これは、新しい仕掛けが登場する際には、このように早い段階で一度体験させてくれます。

ロックマン9 野望の復活!! - Mega Man 9

これによって、この後に同じ仕掛けが出てきてもゲームから一歩引いた目線にならずに、アクションに集中して入り込んで遊び続けられます。



後はこういうシンプルな作りのゲームの副作用として、スムーズに進めば何て事ない場所でも、ちょっと足踏みしてテンポを崩してしまうと、敵や弾があふれて難易度が激変してしまうという点もありますが、これはファミコンゲーあるあるかなということで、悪い点というよりは良い点としてとらえるべきでしょう。



さて、どんな人におすすめかというと、

ファミコンに熱中した世代で、一晩や休日に家族で当時を懐かしみながらワイワイ遊んでみたいという人。

半日家族で遊んで1,000円程度なら安いものでしょう。どこか遊びに行ったら万単位でふっとぶことを思えば…。

そういう目的で購入したなら、クリアするかどうかにもこだわらないと思いますし、クリアするしないに関わらず満足度は高いのではないかと思います。

ゲーム制作者を志す人。

こういった簡素なゲームでは、敵の挙動やマップなどの細部の作りの目的が非常に分かりやすく表面に表れる上、このロックマン9はそれがよく出来ているので、一教材として分析するために遊ぶのも良いかと思います。

クオリティとかどうでもいいからとにかくロックマンの臭いを嗅いでみたい人。

どうぞどうぞ。



こんな感じで初ロックマンを楽しみました。

攻略プレイ動画については、ワイリーキャッスルのステージ2以降を収録する予定は今のところありません。



戦国無双4のレビュー


グランド・セフト・オートV PS4 北米版
Grand Theft Auto V(北米版)
グランド・セフト・オートV PC版
グランド・セフト・オートV(初回生産特典:ゲーム内通貨GTA$100万ドル分の DLC同梱)



ちなみに、DLCも全部買ってるんですけど、終盤の酷い転げ落ち方のショックで「スペシャルステージ」を途中までプレイした以外まだ遊んでいません。いつか立ち直った頃にまた遊ぶ…かも…し…れな……ぃ…。